2012年5月4日金曜日

季語は一句にひとつ?

質問
 俳句を作ったら、一句に季語が二つあると言われました。季語は一句にひとつなのでしょうか?

俳句では一句に季語はひとつが原則とされていますが、規則には例外がつきものです。

    目には青葉山ほととぎす初鰹       山口素堂

 5月の風物のみずみずしさをよく表現しているこの句を聞いたことがあると思います。この句はまた「青葉」「ほととぎす」「初鰹」と三つの季語がある「季重なり」の句としても有名です。素堂は江戸時代の俳人ですから、江戸の人達が喜ぶ初夏のものを並べたのです。「鰹=かつを」は「勝」に通じると、武士の時代の江戸では縁起のよい食べ物だったそうです。ただ、初鰹はなかなか高価で、当時の庶民の口に入るものでは、なかったようですが、初物を喜ぶ、江戸の人々の心意気が感じられる一句です。

    分け入っても分け入っても青い山     種田山頭火

 一方この句には、季語というものがありません。「無季俳句」と呼ばれます。種田山頭火(1882~1940)は、大地主の長男に生まれたのに、一家離散や自殺未遂の果てに、熊本の曹洞宗報恩寺で出家得度し、行乞放浪の生活を送り、「5・7・5」という定型のリズムを守らず、「自由律」という一行の詩のような俳句をたくさん残しました。しかし、この句の「青い山」には、草の丈をかき分け、かき分け進む感じが良く出ていると思います。山頭火はそうやって、西日本中を放浪し、俳句を詠みつづけました。季語はないのに、この句には、夏という季節感が漲っています。

 最初に俳句を作るには、「5・7・5」のリズムの定型を守り、季語をひとつだけ入れることをお勧めします。それが基本となります。季語を覚えていく中で、季節感と自分が言いたいことの関わり、あるいは、季節感から受けた自分の想いを整理してゆくことができるようになると思います。必要なのは、季節感を感じるこころです。失敗を恐れずに、ともかく自由にたくさん俳句を作ってみてください。

 みなさんもコメント欄に俳句に関する質問をどうぞお寄せください。

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